吉相の菩提

㉘吉相の菩提

株式会社德風會・祭祀研究所 代表取締役社長 竹谷泰則

 「吉相墓」は、冥福(死後の幸福)のための吉相の菩提です。ご先祖様を供養するという、お墓の第一義が大切です。
 「根の如く枝葉なる」。お墓をご先祖様として家の根を養います。
 吉相の地に墓所を定めることは、亡き者の安住の地であり、枠石で囲い、囲い守られた、ご先祖様の浄土を現す聖域です。
 お墓を吉方位に向けて、良い方角に向き陽の日を受ける。また、強固な地盤の墓所に、清浄な土を敷き、大地の上に石塔を建て地の気を得る。ご先祖様が天地自然の良い気を取り入れるのです。
 石塔に戒名を刻入して、幽界での名で祀り、戒名が黒々としているのが供養している形であり、手厚く祀り、霊が宿り‟お墓は先祖”です。先祖の御身である石塔は、割れなどがなく傾かず直立して、完全である必要があります。
 夫婦墓は冥福に吉相を施し手厚く祀り、親孝行を全うする、孝の極致です。
 子孫達が正しく祭って行くことが大切です。報恩感謝に供養を勤めます。敬い作法を正して感謝の心を身に表します。お墓は祭るに厚きが吉相です。  

 お墓の祭祀全体が吉相に整って冥福のためになってこそ、吉相の菩提です。
 「吉相墓」は、ご先祖様の次に枝葉の子孫達のことが大切です。「根を養い枝葉が繁る」ご先祖様に厚くして根を養ってこそ、枝葉の子孫が繁栄します。子孫が絶えるのは、先祖の祭祀が絶えることです。
 そして、自分の亡き後には夫婦墓を子が建て、吉相の菩提により冥福を得て、草葉の陰(お墓)から子孫を守護し、子孫繁栄を望む‟先祖になる”のです。
 だから、‟家の根となる「家庭の墓」”は、供養と共に、ご先祖様への報恩感謝や、子孫への願いを込めて建立するのです。
 「吉相墓」は、先祖とその子孫達のために、‟凶を避けて吉に付く「吉相の墓」”に整えます。それは、単に埋葬するだけでなく、ご先祖様へ報恩感謝に、吉相を施し手厚く祀り正しく祭る、吉相の菩提であると共に、自分(建立者)と家族の幸福、そして、子孫が続くことを願うからです。

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