石に霊が宿る

㉝石に霊が宿る

株式会社德風會・祭祀研究所 代表取締役社長 竹谷泰則

 「吉相墓」は、石塔(竿石)を先祖や父母として祭祀し、報恩感謝します。
 家系の永続を感謝し、家系の安泰を願い、「○○家先祖各霊菩提」としてご先祖様をお迎えし、石塔に戒名を刻入します。
 それは、ご先祖様が石に宿り子孫達を守護する‟草葉の陰(お墓)”なのです。
 古神道では、神や霊は神籬(ひもろぎ)とともに、磐座(いわくら)・磐境(いわさか)と言われる岩石に宿ると考えられ、御神体として祭祀しました。
 日本には石造建築の石の文化はありませんが。墓石代わりに河原の石を使ったり、石塔・五輪塔や、石仏・道祖神など「石に霊が宿る、石の文化」があります。
 「吉相墓」は、遺骨を大地に還し、霊と遺骨とを別けます。石塔に戒名を刻入して、手厚く祀り、霊が宿り‟お墓は先祖”です。祀られた墓は霊が宿った、ご先祖様であり、父母であり、人なのです。
 戒名を刻入した石塔は、ご先祖様を顕現したその御身であり、肉体が無くなった亡きものの、霊のための新たな体です。  

 霊を祀る石塔には白御影石が吉相で、切削加工して外面を磨き上げます。
 はめ込み式の石塔が霊が宿るのに良いのです。さらに、先祖の御身(体)である石塔は、割れなどがなく傾かず直立して、完全である必要があります。
 位牌はお焚き上げで処分して良いが、竿石は簡単に処分してはいけない。
 また、南無阿弥陀仏と彫られたり、仏の種子が刻入されたものは、石仏と同じようなものです。仏像だったら要らなくなったからと、割ったりしないはずです。
 それと同じように、一度祭祀した竿石は大切です。お性根抜き(おしょうねぬき)をしても、戒名の文字が残っているうちは、抜き切れないものだと思います。
 「吉相墓」は、石塔に先祖と父母の戒名を刻入して、‟霊を祀る「供養の墓」”であり、吉相を施し手厚く祀っています。
 そして、お墓を先祖と父母として大切にし、正しく祭って行き、報恩感謝します。
 先祖の御身である石塔は、濡れたタオルで手を添えて優しく洗って下さい。

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