各宗教宗派に合った祀り

㉟各宗教宗派に合った祀り

株式会社德風會・祭祀研究所 代表取締役社長 竹谷泰則

 「吉相墓」は、その家庭の宗教宗派に合った祀りを指導しています。各家庭によって先祖の祭祀はちがってきます。祀られるべき先祖によって、建てる石塔の基数、五輪塔への刻入。宗教宗派に合った祀り。
 五輪塔の五つの部分と、夫婦墓の額部(正面中央最上部)に宗教宗派に則した梵字・図形・紋章などの印を刻みます。
 浄土宗などでは、五輪塔にキャ・カ・ラ・バ・アの梵字を刻みます。夫婦墓の額部に阿弥陀如来を表す梵字のキリークを刻みます。仏教全般に女性の逆縁の石塔には観音菩薩像。子供の逆縁の石塔に地蔵菩薩像を使います。
 真言宗・天台宗では、五輪塔にキャ・カ・ラ・バ・アの梵字を刻みます。夫婦墓の額部に胎蔵界大日を表す梵字のアを刻みます。天台宗の宗派で阿弥陀如来を祀る場合はキリークの梵字を刻みます。
 禅宗では、五輪塔にキャ・カ・ラ・バ・アの梵字を刻みます。夫婦墓の額部に空を表す〇を刻みます。
 日蓮宗では、五輪塔に妙・法・蓮・華・経と刻みます。夫婦墓の額部に妙法を刻みます。子供の逆縁の石塔に地蔵を使わず観音菩薩を使います。  

 神道では、五輪塔に空・風・火・水・地と刻み天地の大自然を表します。夫婦墓の額部に鳥居を刻みます。子供の逆縁の石塔は小さめの三段石の石塔にして、地蔵菩薩や観音菩薩の像は使いません。
 キリスト教では、日本の風習に則して祀ります。五輪塔に空・風・火・水・地と刻み、夫婦墓の額部に十字架を刻みます。
 「吉相墓」は、祖先崇拝ですから、各自の信仰とは違うので注意が必要です。
 自分個人が信仰する宗教ではなく、ご先祖様が祭祀して来たのと、同じ宗教宗派でお祀りします。
 ‟家の根となる「家庭の墓」”に、色々な宗教宗派が混じっているのは良くありません。先祖の祭祀の宗教宗派を替えるのは、家系の連続に悪影響と観ます。
 家系に宗派替えがある場合は、状況で判断して、一つの宗教宗派にまとめ、戒名などを整えて祀ります。

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