㊲五輪塔の先祖供養塔

株式会社德風會・祭祀研究所 代表取締役社長 竹谷泰則

 「五輪塔」で、天地の徳とご先祖様を祭祀して、天地の徳がご先祖様と私たち子孫が受けられ、宗教・宗旨宗派に関わらずお祀りできます。
 「古事記」の冒頭には、天地創造の雄大な姿が書かれています。世界が未だ形もなく混沌とした状態にあった時、その中のあるものは上昇し、あるものは下降して、ここに初めて「天(空)」と「地」が分かれて「陰・陽」が定まり。そして、天は「風」を起こし、地は「火」を生み「水」を呼んで、やがてその中から生命が誕生しました。この天地の徳が一体となった姿を、五重の形に表したのが五輪塔です。
 五大の空風火水地を自然に当てはめると大空・風・火・海や河川、池・大地となり、天地の徳・自然の恵みを表します。
 地大・水大・火大・風大の四大に空大を加えた五大を形で表し、さらに識大を加えた六大で法身の大日如来を表します。
 五大は五仏でもあり、阿閦如来を本地とする時輪金剛(カーラチャクラ父母仏=歓喜仏)が主尊の、「身口意具足時輪曼荼羅」を、五仏が五輪に表すと考えています。  

 五輪塔の一番上の空輪は団形の形。阿閦(あしゅく)如来で時輪曼荼羅の中央。
 上から二番目の風輪は半球形。不空成就如来で時輪曼荼羅の東に当たります。
 上から三番目の火輪は三角。宝生如来で時輪曼荼羅の南に当たります。
 上から四番目の水輪は球形(円)。阿弥陀如来で時輪曼荼羅では北です。
 五輪塔の上から五番目の地輪は方形。毘盧遮那仏で時輪曼荼羅では西に当たる。
 「吉相墓」は、五輪塔に「○○家先祖代々各霊菩提」として、ご先祖様をお迎えし、戒名を刻入し、手厚く祀ります。
 五輪塔の形には「死者が成仏し浄土に往生した姿(御身)」との意味もあります。
 五輪塔に身体を当てはめれば(五字厳身観)、頂(空)・面(風)・胸(火)・腹(水)・膝(地)となります。五輪塔に異変が出た時は各部の病気・怪我にご注意下さい。
 五輪塔には暗に陰陽二道(性信仰)の秘義もあり、お墓の「再生を願う形」にも中心となる意義深いものです。

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五輪塔の先祖供養塔